上杉神社、上杉家廟所から今年はスタート 後編

雪国の人々

米沢駅から上杉神社と上杉家廟所は徒歩で往復6km程度だ。

雪が無ければほぼ一本道の平坦路を進むだけで何も問題ないのだが、今回この積雪で通常の2倍くらい時間がかかったと思う。でも私にとってはここまでの積雪路を歩くのは初体験で帰って面白かった。

車道は中央線付近に融雪用に路面から水が出たりしているので雪が積もっていることはない。ところが歩道は全く別で、雪かきをされない限り積もり続ける。

歩き出してみて分かったのだが、歩道は雪が積もったままで、歩く人は自分以外にはほぼいない様子だ。全く歩いた形跡がないところもたくさんある。本当に新雪が積もったままのきれいな状態だ。多いところでは踏み込むたびに膝位まで雪の中に脚が沈む。

だがありがたいことに、パウダースノーなのでズボンや靴の中が濡れないのだ。ゴアテックスのシューズと言うこともあるだろうが、雪が靴やズボンの表面に付着してそのまま凍り、氷の層をつくっているような感じなのだ。氷点下なのだろうがそれほど気温が低くはなく、歩行困難な雪道を歩いていると汗をかいてきてジャケットを脱ぎたいほどだ。

しかし、降り積もる雪で衣服の表面は雪に覆われてしまい、とてもジャケットを脱ぐような余裕はない状態だ。

確かに雪が溶かされた車道側を通れば歩きやすいのだが、シャーベット状の雪や水で靴の中まで濡れてしまうため歩くわけにはいかないのだ。第一雪が道路に迫る車道を歩くのは、時折通る車の邪魔で危険だ。

歩いていると道路に面した家々では出入り口付近の雪かきに追われる人々をよく見かける。雪かきがされた部分は雪の抵抗がないので進みやすいのだが、滑りやすく濡れやすく、かえって私には歩きにくいのだ。そのため、そうした場所でも私はあえて雪が積もったままの地面を選んで進んだ。

交差点で信号待ちしているときなどは、全身雪だらけになりながら交差点にただ一人佇んでいる私の姿は信号待ちしている車からは奇妙に映ったに違いない。

歩いていると郵便配達員を見かけた。歩道にバイクを止めて最寄りの家に配達している最中だった。バイクで走れるのか聞いてみたところ、走れないのでバイクを引きながら歩いて配達しているとのことだった。とても大変な仕事だと思う。元日にこんな苦労をして年賀状を届けているのだ。

以前東京の新聞配達員に雪国の配達は除雪されているため我々が想像するよりはるかに楽なんだと聞いたことがあった。そんなものなのかと思っていたが、それは事実ではなかった。

ここでは冬にロードバイクも乗れないだろう。とにかく歩道をただ歩いている人など皆無だ。雪かきしている人を見ても皆長靴だ。私のようにトレッキングシューズで歩くような人はいないだろう。

歩道に沿ってこの穴が続いている。この穴の下には水路が走っている。

歩道に沿って地下に水路があるようで、ところどころ歩道脇には格子状の穴がある。その部分に雪かき作業で集めた雪を捨てていることが分かった。格子状の穴は足を踏み入れると危険なので、必ず丸型の鉄製のパイプが地上部分にL字型に出ていて、真下に雪を捨てるホールがあることを示している。

雪国で暮らす人たちが当たり前に知っていることを私は今まで全く知らなかった。

コンビニエンスストアでも雪かきに追われている。

上杉神社

上杉神社入り口は米沢駅からまっすぐに道を進んだところに入り口があるので分かりやすい。堀に囲まれた元米沢城の敷地内にあるので堀に架かる橋を渡って中に入る。

私が入ったルートは土産物売り場前に通じ、そこを過ぎると上杉神社正面入り口を入った場所になった。そのため、一旦正面入り口を出る場所まで戻って、かかれ乱れ龍と毘の旗が左右に並んでいる正門を入りなおした。

入り口付近にはちらほら人が行き交う雪の積もった地面に鳩が集まっていた。

石燈籠にしがみつくかのようにとまっていて、まるで雪を避けているようだった。

正面をまっすぐに進み、上杉神社にお参りして来た。

上杉家の家紋。笹に雀。

とにかく参拝客は少なかった。境内にはコロナ対策か、人が密集しないようにレーンが設けられていたが、人がいないのでそんなもの全く必要なかった。誘導員も3人ほどいたが、一方通行の道順を守るようにと来訪者に声をかける程度だった。

とにかく来訪者は少なかったが、そんな中、全身雪まみれになっている自分はやや目立っていたかもしれない。こんな日に駅から歩いてくる人など自分以外にはいないだろう。

米沢城跡は堀に囲まれている。敷地内は松ヶ岬公園と呼ばれていて、城跡など他にも観光施設があるようだ。春は桜の名所でもあると言う。

上杉家廟所

次にもう一つの目的地である上杉家廟所へ向かった。さらに西に1.3kmほど進む。相変わらず雪道では雪かき作業をしている人くらいしか見かけない。

上杉廟所手前に法音寺があった。法音寺には上杉謙信が春日山城の毘沙門堂に安置していた泥足毘沙門天像が祀られているので訪れてみたかったが、何分全身雪だらけの姿だったので今回は諦めた。

上杉家廟所入り口付近にある法音寺 境内でも雪かきをしている。

上杉家廟所は訪れる人が私以外には誰もなく、入り口の受付所も閉まっている。なるほど正月は無料で入ることができるのだ。

空に向かって真っすぐに高く伸びた杉木立が列なり、積もる雪が荘厳な雰囲気を醸し出している。廟への入り口には、上杉神社同様に、左右それぞれに掛かれ乱れ龍と毘の旗が立っている。白と黒のコントラストだけでとても美しい。

上杉家廟所を象徴する風景だ。

謙信廟を中心に左右両側に翼を広げたように歴代の藩主の墓地が続いている。

まっすぐ正面が上杉謙信の遺体が安置されている廟なので、まっすぐに進み、祈りをささげてきた。今回の目的が叶った。

危なかったすぐ近くで雪が一気に落ちてきた。

真っすぐにのびる高い杉木立の近くに近づくのは要注意だ。時々積もった雪が一気に落下してくる。上の方から落ちる雪は一直線に下に積もった雪も地面に落とすためそれなりの勢いになり雪けむりを上げ視界を閉ざす。

雪かき作業

目的を達成したので来た道をほぼ引き返す形で駅へ向かう帰路についた。

相変らず見かける人たちと言えば雪かきをしている人たちだけだ。

私が通過する時、少し雪かき作業の手を止めさせてしまうことになるので少し恐縮してしまう。往路よりも若干ではあったが除雪されたところが増えたようにも感じたが、相変わらず私は除雪された場所でも雪が積もっている場所を歩いた。とにかくその方が滑る心配も濡れる心配もないのだ。

大体皆一人で作業していることが多いのだが、年配女性が雪かきをしていたので声をかけて雪かきを手伝わせてもらった。今日3回目の雪かきとのことだった。

歩道から自宅の駐車場にかけて積もった雪を除去する作業だった。大した量はなかったがその雪を除去する作業を少し行った。驚いたことにパウダースノーだからスコップで雪をすくい上げても、重さがないかのように軽いのだ。これには拍子抜けしたと言うか新鮮な感覚だった。

一昨年の豪雨で実家の脇屋が土砂で潰されたときに、土砂の除去作業というものを初めて経験したが、その時の水を吸い込んだ土砂の重みは本当に重かった。軽々しく災害復旧など考えてはダメだなあと初めて実感したものだった。その経験があったのでなおさら新雪の雪かきの軽さには驚いたのだ。

せいぜい15分程度しか作業をしなかったが、また今度機会があったら手伝わせてもらいたいものだ。

ずっと背負っていたバックパックも雪まみれだ。

帰路

16時半近くに米沢駅に戻り、衣服の表面に付着した雪を取り除いた。在来線は相変わらず止まったままだ。当初の予定では17時44分の福島行きの電車に乗れば最終便で東京に帰るつもりだった。それに該当する新幹線は約一時間後の2本目だ。しかし、この先も雪でどうなるか分からないので数分後に出る最初の新幹線に乗ることにした。上杉神社と上杉家廟所に行くことが目的だったのでこれで十分だ。

相変らず速度を落として走行しているが、新幹線の良いところはスマホを充電できるコンセントが備わっていることだ。積雪の珍しさにいつになく写真をたくさん撮ってしまったのでバッテリーがかなり消耗してしまい、スマホの一つはバッテリー切れになってしまった。米沢入りするときの新幹線で充電しなかったことを公開していた。福島まで大した時間ではないがとりあえず充電した。

往路とちがって帰りは乗り換え時間にそれほど無駄な時間がない。福島駅での在来線乗り換えだけはかなり急いで予定通りの時刻に乗車できたのであとは問題なかった。ここで乗り遅れると本数が少ないため東京に戻るのが最終になる可能性があった。本数が少ない地方から東京へ移動するときは出発時刻が重要だ。東京に近づけば近づくほど本数は多くなるから大丈夫だ。

往路の福島駅で購入した酪王カフェオレのことをすっかり忘れていた。雪の中汗をかいて歩いたので喉が渇いていたことで思い出した。リュックから取り出して飲んでみたが、確かに美味しい。コクがあっておいしいと言ったところだろうか。牛乳もコーヒーも品質が良いだろうと感じられるものだ。飲料大手のカフェオレは砂糖の甘ったるさが残るように感じるが、そう言う感じがない。素直に美味しかった。福島に行ったときには一度試してみると良いと思う。

座席のヒーターがありがたい

全身雪まみれになっていたのだが、電車内の気温が上がったところに来るとその影響がもろに出た。どれだけ雪まみれになろうが氷点下の屋外では、表面の雪は凍り付いてしまうため衣服を浸透することはなかったのだ。ところが気温が上がった場所に来るとそれらが溶けて靴や衣服に染み込んでくるのだ。上半身はダウンジャケットに守られていたので汗が少し冷えてきただけだったが、今になって靴下とズボンの裾が完全に濡れてしまったのだ。

だが丁度よい事に座席の足元からヒータ―の暖気が出ている。乾かすには丁度よいのだ。靴下は予備の靴下に履き替え、靴の中敷きと靴、ズボンの裾を乾かした。往路とちがって、郡山で乗り換える必要もなく、福島から新白河まで1時間40分ほど乗車していればいい。

往路で止まらなかった宇都宮で乗り換えだ。北関東の宇都宮まで来ると何となく帰ってきた感じがする。ただ初めての駅だったの少しだけ外に出てみた。数時間雪国にいただけなのに、雪がない風景には何か物足りなさが感じられた。やっぱり雪が積もっている風景は美しい。

宇都宮からは1時間30分少々乗車して赤羽で乗り換えだ。ここからは往路と全く同じ東京の光景だ。最寄りの駅には23時半前に到着。少し早めに出発して正解だったと思う。

上杉神社、上杉家廟所から今年はスタート 前編

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