ロードバイクのサドルの高さの決め方について

サドルの高さはなかなか定まらないものだ。

25年以上もロードバイクに乗っているのだが、最適なサドル高さを設定するのはとても悩ましいことだと思う。

サドルの高さなどほとんど気にしない人もいるのかもしれないが、私はかなり気にする方だ。

私は過去に幾度となくサドルの高さを変えてきた。25年間のサドル高さの変動域は25mmくらいだ。

サドルの高さを決める上において、私が現在こうだと思っていることを下にまとめてみる。

上から下に読み進める流れで、初心者から上級者へのサドル高さの調整の流れになっているのでそのつもりで目を通してもらえればありがたい。

初心者のためのサドル高の決め方

これについてはいろいろ言われている。

バイクシューズを履いてサドルにまたがり、脚が伸びきった時に踵がペダルに接するくらいだとか、股下x0.85?だとか・・・である。

どちらも大まかな決め方すぎて大してあてにはならない。後者の股下x数値などは一見なんだか理論的でもっともらしく見えてしまうかもしれないが、そもそも股下の測り方に個人個人で差異があるし、シューズによる違いなどもあり大してあてにならない。

サドル高を決める要素はやっぱりたくさんあるのだ。大腿骨の長さ、ひざ下の長さ、脚のサイズ、クランクの長さ、シューズのサイズやクリーとの位置、サドルの前後位置、ぺダリングの仕方など。

だから、ロードバイクに初めて乗る人にとっては、大体のサドル高さで構わない。脚を伸ばしたときに踵がペダルに接するくらいでいいと思う。実際に慣れてくるとこの高さでは低すぎるのだが、最初の内はこれくらいで構わない。

初心者にとって大切なことはぺダリングに慣れることだ。

ぺダリングに慣れないことには自分に合ったサドルの高さなど存在しないと言ってもいい。

理想的なぺダリング

身体的な要素を除けば、サドル高を決めるうえで一番重要なことはぺダリングの仕方だと思う。

一番分かり易く言えば、背伸びすれば股下は10cmも変わることから想像してほしい。ペダルを踏み込んだ時に踵が上がっているか、下がっているかで必要な脚の長さに大きな違いがある起きることが分かるだろう。

一般的に言われているが、常に踵が上がっている状態でのぺダリングが理想とされている。超一流選手の中にはペダルが常に下がっている選手もいたがそれは例外だろう。

まず最初のポイントは常に踵が上がっているようなぺダリングを心掛けること。

次に重要なことはペダルを踏むときの力の掛け方だ。

これも一般的に言われていることだが、時計をイメージして12時~15時の角度で踏み込むこと。大まかな言い方だが、より正確に言うと12時を少し過ぎてフロントギアからチェーンに力がダイレクトに伝わるときに一気に踏み込み15時を過ぎたころには踏み込む力を抜いていくような感じだ。左右両方の脚がこの運動を行うことが一番効率的なぺダリングになると思う。

それから、よく”引き足を使う”と言われるとがある。要するにビンディングペダルで足が固定されているのでペダルを引き上げるように脚で引き上げる運動をしようというものだ。私の場合はこれは通常のぺダリングでは必要ないと思っている。あくまで、登坂時のダンシングによる急激な加速運動やスプリントなどだけで使えばいいと思う。

サドルに座ったままの通常のぺダリングでは重力に逆らうような引き足は意識することなく、左右両方の脚が適切なタイミングで重力に従った適切な踏み込み運動をすることが大切だと思う。

以上2点に気をつけてスムーズなぺダリングの練習をしてみることが最初の内は大切だ。

その過程でサドルの高さや、前後位置などを自分の感覚に従って微調整して行けばいい。

サドルの高さは徐々に高くなるが、最もぺダリングがスムーズにできるポジションを探す

自転車に乗る時間が増えてくると、最初に設定した”脚が伸びきった時に踵がペダルに接するほど”のサドル高は窮屈に感じてきて徐々にサドルの高さが高くなっていく。

この段階での目標は正しいぺダリングをしながらスムーズにぺダリングができるサドル高を見つけることだ。

もっと言うとサドル高に限らず、サドルの前後位置や、クリーと位置、ハンドルまでの距離、クランクの長さなどあらゆるものを自分に合ったサイズにしてみる期間だ。

※クランクの長さだけはそう変更できるものではないので注意が必要。クランクの長さについてを参照

自然にスムーズなぺダリングができるようになり、最もペダルを回転しやすいサドル高などのポジションが見つかればこの時点でサドルポジション設定は終了だと思う。ロングサイクリングでもストレスなく走れるようになれば、とりあえずサドル高の調整は終了だ。

以降はより速く走るためのサドル高の調整になる。競技などを目指している人向けだと思っているの興味がある人は読んでみてほしい。

スムーズにぺダリングできる上限付近のサドル高を見つける

ここからはより速いスピードで走るためのサドル高についてなので、協議に向けた準備になる。ロングライドなどの、サイクリングレベルが快適にできれば十分な人には当てはまらないと思う。

まず前提になるのが、自然な状態(後負荷ではなく、軽めのギヤ比)でぺダリングするのに最適なサドル高と高速で若しくは高負荷で走るために最適なサドル高は違うと言う点だ。

やっぱり大きな力を踏み込む運動で出力しようとするとサドルの高さは通常より高くなるからだ。サドルの高さが高くなれば、踏み込むときに少しでも脚が伸びようとする方向に近ずくし、また、体重を踏み込みに乗せやすくなるからだろう。

この辺りのことはよくわかりにくいが、ヒルクライミングなどの登坂時のことを考えると分かり易いかもしれない。経験的にヒルクライミングではサドルの高さが高めな方が速く走りやすいと言う経験はないだろうか。

これはサドルが高い方が大きなパワーを得やすいことを示していると思う。だからといって、登坂用にやや高めなサドル高にしたままで平地を走ろうとするとぺダリングしにくいと言うことになってしまう。平地では登坂とちがってより高回転が必要になってくるのでこの違いは大きい。

登坂に対しては少し高いサドルポジションの方がいいけど、平地では下げたほうがぺダリングしやすい。ではどうしたらよいのか?

結論は、自然な状態での平地でのぺダリングのしやすさは捨てて、高めのサドルポジションでスムーズなぺダリングができるように練習して体を作ることだ。

この点が、サイクリングレベルまでとは異なることだと思う。

これは、あくまでサイクリングレベルでこれ以上ないと思えるほどのスムーズなぺダリングが身についた段階を経て行わなければいけない点が重要だ。

効率的なぺダリングがどういうものか感覚的に身にについていなければ、ギクシャクしたぺダリングになるだけで、いつまでたってもサドルポジションが高すぎると感じたまま、やがてサドルポジションを下げることになるだけだ。実際に私は経験済みなのでそう思う。

高いサドルポジションへの移行の仕方

今までスムーズにぺダリングできたポジションより高くサドルポジションンを設定すると、ぺダリングしにくく感じる高さがあります。

サドルの高さを変更していくときはせいぜい2mm単位で調整していくことがほとんどだと思います。2mm毎高くしていき、ぺダリングのしやすさが特に変化しなければさらに上げていってい良いです。そして、あくまで正しいぺダリングをした状態でぺダリングしにくくなった(下死点に来た時に脚が一瞬伸びきるような感覚)ときに上げるのを止め1mm単位で上下させ、ぺダリングしにくいと感じるようになり始めた高さを選択してしばらくの間、その高さで乗り続けます。

この過程で重要なことは、回転数は低めでぺダリングすることです。そして、ギヤ比は1週間程度は軽いギヤで、脚が(膝が)サドルの高さに慣れてきたら少し重めのギヤ比を使います。ペダル回転数は低めです。80回転以下。回転数を上げるためのぺダリングではなく効率的にペダルを踏み込むことを意識したぺダリングを心掛けます。

この過程では、今までより高いと感じるポジションで効率的な踏み込みをしようとするので、最初の内はストレスが感じられてサドルを下げたい意識にかられることが多いです。しかし、2,3週間続けていると徐々に強制されていって変更前と同じようなぺダリングになって行きます。

この期間のメリットとしては、例えば今まで脚の踏み込み運動が若干左右に傾いていたりしていたことが矯正されたりすることです。ペダルまでの距離が伸びた分、より脚が最短距離を(鉛直方向に)踏み込もうとするので少しでも無駄を省いた脚の回転軌道を作ることにもなります。

よりサドルポジションを高くすることは左右の脚の力の入れ方や回転軌道のばらつきを修正することにつながるわけです。より高いポジションになればなるほど脚の左右間のアンバランスはスムーズなぺダリングには致命的な障害になるわけです。

このことから言えることは、例えば、特に競技レベルを目指しているわけではないが、左右の脚で回転軌道が違う(例えば、左脚は膝が内側に近づきやすく、右脚は外側に触れる傾向にあるといった左右のアンバランスがある人はサドルを高くしたぺダリングで強制してみると良いでしょう。

高いポジションでスムーズなぺダリングを身につける

元々ぺダリングがしにくい高いポジションでスムーズなぺダリングができるようになるにはある程度時間がかかります。

ただ、前述したように無駄な脚の運動が矯正されてより無駄のないまっすぐな脚の回転運動に強制されるのでより効率的な軌道が身につきます。慣れてくるほどにエネルギーロスが少なく、楽に進むことができるような感覚も生まれます。

低回転ではあるがかなりぺダリングに慣れてきたら(サドルポジションが高いと感じない程度に)少しずつ回転数を上げていくぺダリングもしていきます。

比較的軽めのギヤで回転数を上げられるようになれば、時折重めのギヤで回転数を上げるようにしていけばよいです。

但し、この過程で一番重要なことは常に左右の脚のバランスや力の掛け方、踏み込むときの足の角度などを崩さないように意識することです。

サドルの高さが高くなればなるほど、このバランスの少しの崩れがぺダリングの大きな障害になるので、負荷が大きく回転数が上がれば上がるほどパフォーマンスは落ちてしまうことになります。サドルが高くなった時ほど正しいぺダリングフォームを崩さないことが重要になると言うことです。

第三者からの見た目と自分が”高すぎる”と感じている感覚とのズレを知る

今までこればペストだと思えるほどスムーズなぺダリングができていたサドルポジションからさらに高くして、ややぺダリングがしにくくなる程度までにすると、ぺダリング感覚としては下死点に足が到達したときに脚が伸びきるような感覚になると思います。

ぺダリングをしながら自分の姿を横から見ることはできないので、自分の感覚から勝手に脚が伸びきったようなイメージを持ってしまうと思います。ところがこのイメージは往々にして間違っていることが多いのではないかと思います。

私は実際に一瞬”脚が伸びきっている”だろうと感じながらのぺダリングを鏡に映して見てみると案外そうでもないことにあるとき気づきました。結局これは感覚から来るイメージであって、実際とは違うと言うことが分かったわけです。

ただ、当たり前のことですが、下死点に来た時に前よりも脚は直線的になっています。しかし、これはほんの一瞬の出来事なので連続した回転運動の中ではこの感覚通りの状態をイメージとしてを見ることはできません。

他の例を挙げると、プロのロード選手のぺダリングを見ても同じです。スムーズなぺダリングを見ていると、それほどサドルポジションが高いようには見えないことがほとんどだと思います。ところが、下死点に来たところで写された画像や、ぺダリング動画を下死点で停止して見てみるとかなり高いポジションだと感じることが多いことに気づきます。もちろん各選手によってサドル高の好みにばらつきはあるので一概には言えませんが、走行中の連続した映像から感じる高さより実際は高いポジションであることが分かります。

下死点での静止画像ではなくとも、プロ選手のゴール後やスタート直後の時速5km以下のスピードの状態を見るとサドルの高さを実感することができますので参考になると思います。

サドル高を決める公式はあてにならない

最初にも書きましたが、サドルの高さを決める公式に股下x0.885などといったものを見かけたことがあると思いますが、こんなものは目安にしかなりませんし、私はむしろ無視したほうが良いと思います。

股下を測る時点で、測り方によって誤差が大きいですし、そもそも正確な股下などというものが測れたとしても大した意味は持たないとさえ思っています。

股下の長さが分かれば、BBからサドルまでの長さは絶対この長さが最適であるなどということはないですね。人によって大腿骨の長さ、膝下の長さ、脚のサイズ、体の柔らかさなど、いろいろな要素に違いがあります。人種によってもこの違いは大きいと思います。さらに言えば、クリートの位置設定、使用するシューズやペダルによっても違いが出ます。

極端な言い方をすれば、股下を目安として考えるなら、身長を目安として使っても差し支えないほどだと思っているくらいです。

プロ選手のポジション設定を参考にするのもよい

今では結構プロの選手のポジション設定の情報が動画などを含めてそれなりにあると思います。昔と違って、動画自体が多いし、プロ選手自身が自分の情報を公開することが多いからです。あくまで、スムーズなぺダリングが身に付いている段階であると言う条件であれば、プロ選手のポジションを参考にしたらよいと思います。

例えば、自分の理想のプロ選手がいるとします。その選手の身長は自分と同じくらいであることは分かっていても股下サイズは分かりません。その上で、その選手のサドル高が分かれば十分に参考になると思います。

もしその選手がヨーロッパ選手であれば、おそらく、股下は自分より長いでしょう。基本的に同じ身長でも欧米人は日本人より頭が小さいので、その分手足は長くなるでしょう。そのあたりの情報と、その選手の走行中の動画からシューズが最もサドルから遠い位置(下死点)に来た時のぺダリングの様子などを参考にして自分のサドルポジションに活用するのはそれなりに参考になると思います。

サドルポジションによって大きく左右されるサドル高

BBから直線的に伸びたサドルトップまでの高さだが、サドルのポジションによっても大きく左右されることを忘れていはいけない。

サドルの前後位置によっても多少の変化があるが、サドルの前後位置はペダルを踏み込むときに快適な位置によってほぼ決まるのでサドルの高さによってあまり大きく変わる物ではないと思っている。例えば大腿骨の長さによってほぼ快適なポジションは決まってくるようなものだと思う。

だから、前後位置よりもサドルポジションに影響するのはサドルの傾きだ。基本的にはサドルが水平になるようなポジションが多いが、中にはいわゆる前乗りポジションと言われる、サドルが前下がりになったポジションとその逆の後ろに下がったポジションがある。

この前下がりのポジションと後ろ下がりのポジションではサドルの高さに大きく違いが生じてくる。

前下がりになるとペダル下死点までの距離が少し短くなるり、後ろ下がりのポジションでは下死点から遠くなる。

見た目にはサドルトップの高さに変わりはないので、不思議に思うかもしれないが、これは実際に試してみると分かることだ。

踏み込んだ時に脚全体がペダル方向に押し出るため、前に傾いたサドルポジションでは股下から脚全体がペダル方向に流れやすく、下死点の時にサドルからペダルまでの距離が近くなる。

ところが、サドルが後退したポジションだと前上がりのサドルに脚が前に流れるのが妨げられるので下死点にペダルが来た時のペダルまでの距離は縮まらず遠くなるのだ。

見た目に明らかに前下がりと後ろ下がりがはっきりするようなサドルポジションでは、BBからサドルトップまでの高さに5㎜前後の違いが出てくるので、この違いは無視できないものになってくる。

特に前下がりと後ろ下がりのポジションにこだわりが無ければ、まずは水平のポジションでサドル高を決定するのが良い。

その上で前下がりと後ろ下がりの調整によって快適さが変わってくることを知ったら、サドルの角度に合わせて再度サドル高を調整することをお勧めする。

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