歌集 滑走路 を読んだ

この連休に知人の医師に会った。仕事で出会った方でご無沙汰していた。たまたま外食していた時に会ったのだが、その後コーヒーを飲みに誘っていただき話す機会を持つことができてありがたかった。普段は医師と言う立場で忙しいはずだが、連休中という若干時間にゆとりがあるときに会えたことも幸運だった。

話の中で少し本の話題になり、その先生から”滑走路”という歌集の本を借りた。

著者は32歳で自死してしまったが、その1カ月前に初めての歌集の発行が決まっていた。それがこの”滑走路”だ。遺稿となってしまった作品だが、かなり話題になった本のようだ。テレビでも取り上げられたそうだ。そんなことなど露程も知らなかったのだが、短歌集なのであっという間に読み切ってしまえる。

読んでみた感想としては、心の内が素直に文字におこされている歌だなあと思った。文語的な言葉はなく口語表現なのでなおさらそう思う。作者が目指していたスタイルがまさに口語調だったのでそうなのが、そういう点からしても読み手にストレートに伝わってきるから流れるように読んでしまえるのだと思う。

作者のバックグラウンドにある、中学生から高校生にかけて受けたいじめや、非正規社員として働く生活から来る作者の思いが表れた作品が多いと思う。

私は若干俳句に関わっているのだが、改めて思うことは文字にすると心の内が良く分かるなあと思う。心の内を文字にすると言うことは、まず、文字にしてみた自分自身がより一層現実と向き合えることを意味する。文字にしてみて初めて自分が何を感じているかに気づくことが多いのだ。文字にしないと無意識に失われていく感動が多いのだ。これは私が俳句を作ってみて最初に感じたことだった。まだ、素人の域の感想としては、そこに創作の面白みがあると思うのだ。

そして、当たり前だが、文字にしたものを読んだ読み手がそこから現実を感じ取ることができる。非正規社員の憂いのようなものもより一層この歌を通して感じることができる点があるように思う。

私としてはこの歌集を通して特に彼の心境や境遇に共感したわけではないが、俳句や短歌のように文字に起こすことで伝わる感動の大きさを新ためて思わされた気がする。

それだけに、初の歌集の発行が決まってこれからの活動に希望を持たれていた矢先に亡くなってしまったことはとても残念だ。

本当にあっという間に読めてしまう歌集なのでぜひ読んでみてほしいと思う。

 

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