知られざる偉大な世界記録ダニエル・コーメンの3000m 7分20秒67

以前からずっとすごい記録だと思っていたのだが、あまりに知られていない世界記録なのでここで紹介したいと思う。

それは陸上男子3000mの世界記録だ。90年代に活躍したケニアのダニエル・コーメンが打ち立てた記録、7分20秒67だ。

なぜ目立たないかと言えば、男子3000mという種目がオリンピックなどの正式種目ではないからだ。

しかし、7分20秒という記録自体はすごすぎるレベルだ。単純に1500mの平均ラップが3分40秒である。1000mごとの平均ラップは2分26秒89だ。

下のコーメンが3000mの世界記録を達成したときの動画を見るとその凄まじい速さが良く分かる。2人のペースぺーカーを使っているようで最初の一周から縦一列になるほどのスピードだ。800mの通過は1分56秒63のようだ。そして、最初の1000mの通過タイムは2分25秒89だ。実況している2人の男もあまりの速さに呆れ気味だ。

1000m通過時の1周のラップタイムは59秒26、次の一周のラップは何と57秒66まで上がり、そして、次の一周で59秒91とやや落ちるが、次の周回のバックストレートでスピードアップしてペースメーカーを抜き去り独走態勢となりラップを58秒37に上げる。2000mの通過は4分53秒13だ。1000m~2000mの1000mのラップは2分27秒24になる。その後も、59秒75、59秒09と最後まで60秒を切ったままゴールしてしまう。最後の一周は観客も総立ちで拍手を送っている様子が分かる。最後の1000mのラップは2分27秒54であることがわかる。

コーメンの一周の平均ラップを算出すると58秒756となる。このペースで3000m走破してしまうのだから、いかに凄まじい速さであるか分かるだろう。

ラップタイムから算出すると、最初の1500mは3分38秒52、後半の1500mは3分42秒14くらいであると推定される。

1500mの日本トップレベルの選手が2人でリレーしても勝てるかどうかというレベルだろう。

さらに、コーメンは2マイルの世界記録保持者でもある。2マリルで8分切を達成して、7分58秒61だ。(1マイル=1609.344m)

コーメンは1500mで3分29秒、5000mは12分39秒で元世界記録だ。いずれも90年代に記録している。1500mで3分30秒を切るというのは超一流のスピードを持った中距離選手と言える。ちなみに、コーメンの5000mの記録は世界歴代3位だ。べケレが12分37秒で世界記録保持者、ゲブレシラシエが12分39秒で歴代2位だがコーメンと大して差はない。べケレもゲブレシラシエも1500mももちろん速くそれぞれ3分32秒と3分33秒だ。これらのデータから見るとコーメンは5000mでべケレやゲブレシラシエと互角の持久力を持っているので、3000mでの強さは1500m走で現れているスピードだろうと考えられる。

3000mと言うとどうしても3000m障害という種目があるからほとんど注目されないのだが、コーメンの記録は中距離走の世界記録としては一番凄い記録なのではないかと私は思う。

この種目の世界歴代10傑を見ると明らかだ。世界歴代に2位の記録は7分23秒09で、1500mの世界記録保持者のヒシャーム・エルゲルージだ。そして3位から6位までは皆7分25秒台だ。この中には5位に1500mの元世界記録保持者でエルゲルージの出現までは圧倒的強さを誇ったヌールデン・モルセリ、4位に5000m、1万m、マラソンの元世界記録保持者でエチオピアの皇帝と言われるほどに強かったハイレ・ゲブレシラシエ、6位にゲブレシラシエの後に続いた5000m、1万mの現世界記録保持者のケネニサ・ベケレがいる。世界歴代7位が7分26秒台で、8位から10位までは7分27秒台だ。8位のモーゼス・キプタヌイは世界で初めて3000m障害で8分を切った選手で、コーメンが破るまでの3000mの前世界記録保持者だ。

コーメンの記録は中長距離界の世界最強クラスの選手がこれほどいる中で2位のエルゲルージにこそ2秒42の差だが、それ以外には圧倒的な差をつけていると言ってもいいと思う。

中距離vs長距離ができるのが3000m?

ところで、男子3000mの世界歴代10傑を見て感じたのだが、3000m走は1500m走などの中距離ランナーと5000mや1万mの長距離ランナーが対決できる面白い距離の種目なのではないだろうか。

1500mの世界記録保持者と前世界記録保持者であるエルゲルージとモルセリがそれぞれ、歴代2位と5位にいる。そして、5000mと1万mの世界記録保持者と前世界記録保持者のべケレとゲブレシラシエが、それぞれ、6位と4位にいるのだ。

もし、正式な種目だったら一番面白くなるかもしれない。エルゲルージの様なスピードを持った中距離選手が勝つにはラスト勝負に持ち込むだろう。エルゲルージレベルであれば、1500m走であれば最初からハイペースで逃げ切ることができるが3000mではそうはいかない。ところが、ゲブラシラシエのような長距離選手がエルゲルージに勝つにはラスト勝負には持ち込めない。彼も5000mや1万mであればラスト勝負は得意だ。何しろ1万mのラスト1周を53秒で走ってしまえるのだから。しかし、それを上回るスピードを持つエルゲルージに勝つためには最初からハイペースに持っていく戦いをしなければ勝てないだろう。

コーメンのデータから見てもやはり1500mで3分30秒を切るスピードがある選手の方が若干3000mでは有利だとは思う。

最近の選手で一番適性がある長距離選手としては英国のモハメド・ファラーあたりだと思う。彼は5000m、1万mで近年勝ち続けてきたが、どちらの種目も世界歴代10傑にランクインしていない。彼の強さはラストスパートのスピードなのだ。勝負強さが武器なのだ。事実彼の1500mの記録は3分28秒台だ。ただ、すでにファラーはマラソン競技も走っているので年齢的にも3000mに挑戦することはないだろう。

こう考えると、この3000mと言う種目はメンバーにもよるが必然的にハイペースになるのではないだろうか。

正式種目であればなあとも思ってみたが、正式種目にすると3000m専門の選手が出てくるだろう。だから、敢えて正式種目にはせずに、4年に一回のオリンピックだけで、例えばオリンピックディスタンスとして正式採用すれば、中距離選手vs長距離選手のバトルの場になってとても面白い種目になると思うのだ。オリンピックでしかない正式種目となればその価値も高まるのではないだろうか。

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