米原駅で夜を明かす

掛川を発ち飯田線全然を乗り、中央線で塩尻経由で名古屋まで行き、東海道線で米原に無事到着した。ほぼ午前0時着だった。

明日は石川県七尾市まで行く予定なのだが今日は止まる場所がないのだ。宿泊に関しては無計画で2日で全行程の仕事を完遂することを優先したので米原では始発までの数時間を何とかやり過ごせばいいだろうと思っていた程度だった。夏だしどうにでもなろうと言う心づもりだったのだ。幸い昨日の天気予報の局地的な大雨に見舞われることもなく、何とか終電で米原まで着いたことでとりあえず初日は達成できたのだ。

アットコンタクト

初めて改札前で横たわり一夜を明かした

だがやはり仮眠は取りたいもので、前日の睡眠時間が2時間弱だったのでなおさらだった。近くにある公園のような場所で仮眠をとろうとしたのだが、あいにく雨も降ってきていてそれもかなわなかった。雨が降っていなくても蚊が出てどうしようもないだろうことは想像できたが・・・

結局駅で始発まで待機しようと改札前に戻ったのだが、そこにはベンチが二つ。正確に言うと4人分のベンチが一列に連なったものが2カ所あった。しかし、既に一方ではサラリーマン風の男がベッドにして豪快にいびきをかいて爆睡しているのだ。12時を周ってはいたがまだ、到着電車がある中、随分と大胆な男だった。私はさすがにそこまで無神経にはできないのだが、ここ以外休む場所がないのも事実だった。駅前にはベンチはいくつかあったが、どれも一人分の席に仕切りが設けられていて横になって寝られなれないようになっている。寝たいと思ったときに初めて、なぜそのようなつくりになっているかが分かるものだ。そして、なぜか屋根があるところを少し外して雨に濡れる所にベンチが設置してあるのも、それとなく雨宿りさせないための意図があるようにすら思えた。

このような状況だったので、改札前に戻って来たのだが、もう一方のベンチには男が一人座っていたのだ。4つ並びの右端にその男が座り私が左端に座ってみたのだ。30分、1時間と座っていたが、どうも隣の男も相変わらず私と同じようい座っている。時折座ることに疲れて、目の前の自動販売機まで歩いたり、ストレッチをしたりしてみるのだが、2人とも同じような状況だ。どうもこの男も私と同じく朝までここにいる魂胆のようだった。

1時間半を過ぎても同じで、確かに頭の片隅にこの男が立ち去れば私がここで寝られるとは思ってはいたのだろうがその可能性がないと分かるとどうやって仮眠を取ろうかと思いを巡らす。やはり前日ほとんど眠れていないのと、時間が経つにつれ睡眠なしで始発を迎えるのは困難だと思えてきたのだ。座ったまま寝ようにも眠れるはずもなく、私たちをよそに相変わらず隣のベンチでは大いびきをかいて爆睡している。

地べたに眠りたいのだが何も敷かずにに眠るには抵抗感があり、踏み切ることが出来ずにいたが、しばらくしてそこに敷くものを持っていることに気づいたのだ。

それは今回の天候に備えてバックパックに入れておいたレインコートだった。ひざ付近まであるので十分に敷物になる。

そのことに気づいて、隣の男に声をかけてみることにした。眠らずに大丈夫か?と尋ねてから、私は敷物を持っているので地べたに眠るから、このベンチで眠るように勧めてみたのだ。果たしてその男も始発まで待機しているとのことだったので、なおさら休むように促してみたのだ。

なかなか遠慮がちな男で私の提案を素直に受ける様子ではなかったが、私が地べたに横になってしばらくしたら彼もベンチに横になっている様子が分かった。

線路の上にあるアーチ形のホームの改札前なので外気からは隔てられていて蚊は少なかったが時々現れた。だが、どうしようもないほどでもなく大した問題はなかった。さらにありがたいことに、時折冷気が入ってくることだった。1週間ほど前であれば新潟で40度を記録するような気温で夜も27度を下回らない陽気だったが、今日は夜涼しさを感じられる状態になっただけでもよかった。さすがになかなか眠れはしなかったが断続的に眠りにつくことができただけはるかにましだった。何度か目が覚めたり無意識に駅内の音、もちろん貨物列車などの通過音もあったが横になることで休まるありがたさは実感できた。蚊も出たので途中からレインコートを完全に着て横たわったが、これで完全に蚊をシャットアウトできたらしい。おまけに暑さも全く感じなかった。

4時半過ぎに目が覚めて起きる気分になった時に、既に隣にいた男がベンチで座っていることが分かった。私に向かって会釈したので、私も起き上がってみると、「本当に助かりました。」と礼を言ってくる態度だった。

5時少し前の始発で京都方面行に乗るようだったのでその男とは別れた。必要最小限の会話しかしなかったが、なかなか礼儀正しく節度がある男だった。外見的には体重がゆうに100kgはあるだろう恰幅で見た目からはなかなか好感を持てないような男だったが、こうして接してみるととても好感が持てる男だった。

相変わらず隣ではいびきをかきながら男が寝たままだったが、本当に対照的に思えた。もし、なりふり構わず寝るような男だったら、私が来る前にベンチを占拠して寝ていたことだろう。おそらく、まだちらほらでも人が乗り降りする限り、改札前のベンチでそのような迷惑になりかねない行為は出来ないと言う思いから座っていたのだろうと思う。

人は見ただけの印象で判断してはいけない、その人が取る態度には十分注意して見る必要があるだろう。本当にそうした気づきにくい態度にこそ人柄というものが含まれているのだろう。

今回レインコートを持ってきていることに気付けて、地べたに寝ることを選択することで同じ境遇の男もベンチで多少なりとも休むことができて本当に良かったと思えたのだ。

彼はまだ多分20代だろうと思えたが、年上の自分が図らずもそういうことができて良かった。

駅に寝る時点で、普通の感覚からしてどうなんだろうとは思うわけだが、寝る場所が無ければ駅だろうと寝る、当たり前と言えば当たり前だ。人に迷惑を掛けなければ問題はない。

さて、私は6時過ぎの電車に乗れば良かったので、それまでの1時間外に出てコンビニを探すとおにぎり一個とポカリスエットを購入して駅で食べて待機した。相変わらず、昨日から続くお腹を下した状態は改善されておらず何かにあたったようだ。電車内の冷房による冷えでお腹が緩くなることはあるが、その程度だったら一時的なものですぐに改善するのだが、そうではないので何かほかに原因があることは今までの経験で分かるのだ。

2週間以上繰り返し水を入れ替えて使っていたペットボトルにもその原因があるのかと思い早速捨てた。あるいは、昨日食べたパン類が暑さで悪くなったことが原因でこんな症状をきたしたのかもしれなかった。

とにかく、サイクリングとは違い、熱量をそれほど必要としなかったので、何も食べずにいても構わない。お腹をひたすら温めて対処するのみだった。

それにしても思わぬ体験ができて一つ思い出になった。

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