インデュラインやフルームが乗鞍マウンテンサイクリングを走ったらどんなタイムが出る?

ツールドフランで有名な上り坂コースにモン・ヴァントゥがある。

このコースの上り区間の距離が15.9kmで平均勾配が8.9%だと言う。

ツールドフランスにおけるこの区間の歴代記録を見ると興味深いことが分かる。

1位から5位までは1994年の15ステージで記録された記録なのだ。

私はこのころのツールドフランスが大好きだったので実際にこのステージのレース模様はテレビで見ていたのでよく覚えている。

何と言っても1994年ツールドフランスのこの有名な峠を含む山岳コースが特に印象的だったのは、このステージを制覇したのがエロス:ポーリだったからだ。身長197㎝のイタリアの大男で、上りは全くと言っていいほど登れない。それなのに序盤の平地区間から大逃げして、この長い上り区間で後続に差を狭められながらも逃げ切ってステージ優勝してしまったのだ。詳しくは過去にこのブログ記事に書いたので読んでみてください。(最も大きな男と最も小さな男の山岳勝利)

エロスポーリの逃げを上りになって追いかけ始めたのがミゲルインデュラインを含む総合トップを争う連中だった。

その中でマルコ・パンター二が単独で逃げ山頂を一人で通過。それを追うかたちで、インデュラインを含む数人が通過する動きだった。その時の記録がそのまま歴代記録のトップ5になっているのだ。

まず何が凄いかと言うと、こんな古い記録がいまだに歴代トップ5を占めていることだ。何といってもまだカーボンバイクがほぼ使われていない時代だ。

ほぼすべての選手はスチールフレームを使っているはずだ。もしくはアルミフレームを使っている可能性もある。だが、少なくともインデュラインは1994年のツールドフランスまではピナレロのスチールフレームを使っていたはずである。しかも、総重量10.2㎏あるバイクだ。

1位で通過したパンター二は46分ジャストで頂上を通過している。そして、それを追ったインデュライン、リシャール・ビランク、リュック・ルブラン、アルマンド・デラスクエバスが47分30秒の同タイムで通過している。

それぞれ総合争いをしているメンバーだが、総合で圏外であるエロス・ポーリに追いつく必要は全くなく、せいぜい逃げようとするマルコ・パンター二に追いつくことができれば十分だと言う状況だ。しかも、山頂までに追いつかなくても、その後のゴールまでには長い下りと平地区間があるため総合トップのインデュラインにとっては登坂区間を本気で追う必要もなかった。そんな状況で出た記録なのだ。しかも、アルマンド・デラスクエバスは純粋なクライマーではなくタイムトライアルのスペシャリストだった。インデュラインが本気でスピードアップしたら確実に置いて行かれただろう選手だろう。

つまりインデュラインにとっては十分に余力を残した走りでこのタイムで走ってしまっていることになる。

この1994年に記録されたトップ5に続く第6位がドーピングで全てのタイトルを剥奪されたランス・アームストロングが2002年に記録した48分33秒、第7位の記録が2013年にクリス・フルームが記録した48分35秒だ。どちらも94年のインデュラインたちの記録からは1分以上遅れている。マルコ・パンターにからは2分半以上も遅い。もちろんレース状況はいろいろなので一律に比較することはできないにしても、ツールドフランスの常連コースにもかかわらず26年以上たった今でも全く記録が更新されていないことは驚きだろう。

7位はアルベルト・コンタドール、8位はアンディ・シュレックとヒルクライムのスペシャリストが続く。カーボンフレーム全盛期の21世紀になっても記録が破られていないと言うのは90年代の選手の力量を感じさせるように思う。インデュラインのスチールバイクなど今のカーボンバイクより3kg以上重いはずだ。

モン・ヴァントゥ歴代記録トップ10

1位 マルコ・パンター二 1994年 stage15 46分00秒

2位 ミゲル・インデュライン 1994年stage15 47分30秒

3位 リシャール・ビランク 1994年 stage15 47分30秒

4位 リュック・ルブラン 1994年 stage15 47分30秒

5位 アルマンド・デラスクエバス 1994年 stage15 47分30秒

6位 ランス・アームストロング 2002年 stage14 48分33秒(ドーピングにより記録無効)

7位 クリストフ・フルーム 2013年 stage15 48分35秒

8位 アルベルト・コンタドール 2009年 stage20 48分57秒

9位 アンディ・シュレック 2009年 stage20 48分57秒

10位 マルコ・パンター二 2000年 stage12 49分01秒

11位以降50位までの記録を見ても全て2000年代以降の記録になっている。

こういう記録を見ると、クロモリフレームに乗っている私にとっては、やっぱりクロモリフレームだよなと思ってしまうのだ。

このモン・ヴァントゥの歴代記録をもとに1994年のミゲル・インデュラインと2013年のクリス・フルームの出力を計算した上で比較してみる。

まずはこの二人の体格

ミゲル・インデュライン 身長188㎝ 体重79㎏ バイク重量10.2㎏

クリス・フルーム    身長186㎝ 体重69㎏ バイク重量7.2kg

体重とバイク以外にウォータ―ボトルやシューズやウェア類として余分に1kgを加味すると、インデュラインの平均出力が約516w。フルームの平均出力が約431wとなった。

インデュラインの方が1分余り上回っている記録とは言え、身長でそれほど差がない二人だが、体重やバイク重量の違いから出力差に大きな違いがあることが分かる。

インデュラインが乗鞍マウンテンサイクリングを走ったらどんなタイムが出る?

とてつもない出力をヒルクライムで維持していることが分かるが、より分かりやすくするために、もしこの出力で二人が日本で一番有名な乗鞍マウンテンサイクリングを走ったらどんなタイムが出るか計算してみる。

ミゲル・インデュライン  48分00秒

クリス・フルーム     49分50秒

乗鞍の方が距離が5km近く長くなるが、2人ともタイムトライアルでモン・ヴァントゥを走ったわけではないので、実際に本気で走ったらこの結果より速いタイムで乗鞍マウンテンサイクリングを走り切ることになるだろう。

ちなみにインデュラインがフルームと同じ重さのバイクに乗ったとして計算しなおすと47分00秒というタイムになる。平均時速は26kmを優に超えている。

おまけにパンター二だったらどうだったのかなあと思い計算してみる。

パンター二のデータを身長172㎝、体重55㎏、バイク8.2㎏、それ以外+1㎏とする。

※特にバイク重量は1994年使用バイクとして推測値

パンター二の結果は48分10秒となった。平均勾配が9%近いモン・ヴァントゥに比べて乗鞍は平均6.1%程度なのでインデュラインに若干遅れる結果となった。パンター二のような軽量な生粋のヒルクライマーであれば8%を超えるような勾配がきつい上りで威力が発揮されることがうかがえる。

出力から考えると、モン・ヴァントゥと乗鞍でトップクラスのプロ選手がヒルクライムタイムトライアルをしたらそれぞれ距離と勾配は違えど、大体同じくらいの記録か、モン・ヴァントゥ+1分くらいが乗鞍のタイムになるであろうと言う結果になった。

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