アワーレコードの話 その2 遠心力の影響

1994年にアワーレコードに挑戦したインデュラインは53.040kmを出して達成。その1か月後にアワーレコードに挑戦したロミンゲルは53.832kmを出してあっさりと更新、さらにその一週間後に再挑戦して55.291kmという脅威的な記録を達成する。

これを仮に55.291kmの平地のロード個人タイムトライアルを行ったことにしてみる。

すると、

1位 トニー・ロミンゲル   1.00.00

2位 ミゲル・インデュライン 1.02.32

となり、インデュラインはロミンゲルに2分32秒もの大差で敗れたことになる。

さらに、1996年にボードマンが打ち立てたアワーレコード56.375kmを同じようにロードタイムトライアルに置き換えてみると、

1位 クリス・ボードマン   1.00.00

2位 トニー・ロミンゲル   1.01.10

3位 ミゲル・インデュライン 1.03.46

となり、インデュラインはボードマンから3分46秒も遅れることとなる。

およそツールドフランスなどで行う個人タイムトライルの結果と逆になっているように見える。例えば、1994年のツールでは64km個人タイムトライアルで、クリスボードマンは5分以上インデュラインから遅れをとった。ロミンゲルはパンクの影響もあったがインデュラインに2分引き離された。

インデュラインやロミンゲルは上りにも強くある程度の起伏があろうがその強さを発揮できる点でボードマンを上回っている。ではロードタイムトライアルで一番強いインデュラインはなぜアワーレコードで遅れを取っているのだろうか?もちろんインデュラインは当時のアワーレコードを達成したわけだから、それ以後の挑戦に強いこだわりはなかったのかもしれない。しかし、挑戦したところで、インデュラインにとって不利な要素があったようだ。

それは、400mのトラックをぐるぐるぐるぐるぐる1時間に130周以上するこの競技において、遠心力が問題になってくると言うものだ。遠心力とは物体が回転運動をする時に中心から外へ押し出される力だが、この力の大きさは物体の質量と速さによって決まり、質量が大きく速さが増すほどに遠心力は大きくなる。要するに挑戦者の体重とバイクの重さと速さで決まると言うことだ。つまり、インデュラインの場合、大柄で体重が重いので遠心力の影響が大きくなるのである。しかし、遠心力が大きくなろうが、そのためにトラックはバンクになっているので影響はないように思える。

ではどこに影響するのかと言うと、体内の血流に影響するとのことだ。大柄なインデュラインにとって体を循環する血流が遠心力によって受ける影響は小柄な選手に比べて大きいのだと言う。体が多きいがゆえに心臓を出た血流を手足の先まで循環させることに対して遠心力による影響が大きいのだ。

身長188㎝体重80㎏(アワーレコード時は82㎏)のインデュラインに対して、ロミンゲルやボードマンは175㎝の65㎏くらいだろうと思われる。力強い出力を支える強靭な心肺機能を備えていても、その機能が遠心力によって阻害されれば、その分推進力を失ってしまうことになる。

確かに遠心力による影響はありそうだ。体の大きさによってどの程度の差があるのかははっきりしていないだろうが、もともとインデュラインがアワーレコードに挑戦することが決まった時、多くの人は56~57kmが出るのではないかと予想した。そのことからするとアワーレコードを達成したとは言え53kmは意外に遅かったのだ。それにしても、このインデュライン本来の力を削ぐものが遠心力と言う目に見えない力だと言う考察は興味深い。

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