今や陸上長距離界はアフリカ勢の独壇場と言ってもいいのかもしれない。
とは言え、果敢に挑み健闘している白人ランナーがいることを忘れていはいけない。現役最強の白人ランナーである米国人ゲーレン・ラップだ。彼はオレゴンプロジェクトという長距離トレーニングに参加する選手でチームメイトにはここ最近5000m、10000mで圧倒的強さを誇っている英国人モハメド・ファラーもいる。ちなみに、ラップは白人選手として初めて10000mで27分を切った選手だ。現在はタイムを26分44秒まで縮めている。ちなみにこのタイムはファラーの自己ベストタイムよりも速いのだ。
現役最強とも呼ばれているファラーはラスト1周でのスピードで他を圧倒できるパワーがあると言えよう。世界トップクラスのラスト1周は53秒台で走る走力が必要だ。1500mを得意とするトップランナーが走ればラスト1周が51秒台も出るほどのスピードが世界のレベルだ。このあたりのスピードは日本人にとっては異次元だ。
アフリカ勢以外はほとんどが終盤を迎える前に脱落していく中で、ゲーレンラップは最後までしっかりと先頭争いをする力があるのだ。日本人が当面目標にしている、いかにして食い下がるかではない。いかにしてラスト勝負で勝つかというアフリカ勢との争いの中にいる選手なのだ。
事実ロンドンオリンピックではなんと10000mで銀メダルを獲得しているのだ。
そして、4年後のリオデジャネイロオリンピックではマラソンに挑戦し銅メダルを獲得している。しかし、驚くべきことはこのオリンピックでは10000mにも出場して5位入賞しているのだ。その1週間後にマラソンを走って銅メダルなのだ。このことはあまり報道されていなかったが、すごいことだと思う。日本陸上競技界ではこんな発想は皆無に等しいことだろう。
ラップは現在31歳。まだまだ、挑戦していけるだろう。他の選手もラップを目標にしてアフリカ勢以外でも戦える姿を見せてほしい。