最も大きな男と最も小さな男の山岳勝利

1994年のツールドフランスは今でも印象に残っている。

特に印象に残っているのはクリス・ボードマンのプロローグデビューだ。ロータスバイクに乗って低い姿勢で弾丸のように飛ばし平均時速55kmを超える速さで走り切ったのは圧巻だった。

そして、第一ステージのゴールスプリントで発生した大落車。何とカメラを構えていた警官にぶつかって発生したという衝撃的なものだった。その次はやはり王者インデュラインの圧倒的なタイムトライアルのパワーだ。気温37度を超す猛暑にもかかわらず最初の15kmほどで2位以下を1分近く引き離す力はすさまじかった。

前置きが長くなったが、この年のツールでどうしても忘れられないのがタイトルにも書いた最も大きな男ともっとっも小さな男の山岳ステージ勝利だ。

一人はイタリアのエロス・ポーリ。彼は平地であれば時速40~45kmなら一日中でも走っていられると言うほどの平地の走力を持つ男だった。かつてはあの偉大なイタリア人選手フランチェスコ・モゼールのアワーレコードに挑戦する話も出たようだったが、一介ののアシスト選手に破られては困ると言う圧力から挑戦を断念させられたと言う話があるくらいだ。実際、ツールドフランスでは平地のアシスト役の選手に過ぎなかった。そのエロス・ポーリが第15ステージの平坦区間で単独で逃げる。しかし、集団は彼を放っておく。なぜならこの日もアルプスステージ、後半にはアルプスの長い上り坂が待ち受けている。ポーリは大柄な体格故上りは全くダメなのだ。しかし泳がされたポーリは悠々と走り山岳手前では後続に20分以上のタイム差をつけていた。長い上り坂をのっしのっしとペダルを踏み込み登っていくポーリ。みるみるタイム差は縮まっていく。しかし、観客はポーリに檄を飛ばす。もしかしたら・・・。

そしてなんと、単独で峠を越えたのだ。あとは下りきって平地を走ってゴールするのみ。

ツールでは日の目を見なかった一介のアシスト選手ポーリはそのまま逃げ切って何とツールの山岳ステージで優勝した。身長197㎝、体重も90㎏くらいあるだろう大柄な選手がアルプスを越えて勝ってしまったのだ。ゴールの瞬間サンバイザーを投げ捨てて観客に応えるポーリ、その後ろを走るオフィシャルカーはライトを点滅させてポーリを祝福、チームのサポートカーに乗るスタッフは万歳をして歓喜に沸く光景はまさに最高のシーンだった。長く報われなかった選手の勝利だ。是非とも見てもらいたいツールドフランス最高のシーンの一つだ。

※この動画の最初〈始まって2,3秒)の方で ”がんばれーー!”と檄を飛ばしているように聞こえるシーンがあるのだが、観客に日本人でもいたのだろうか・・ それとも単なる空耳だろうか・・

そしてもう一人は、身長159㎝ともいわれるコロンビア出身のネルソン・ロドリゲスの山岳ステージ優勝だ。ポーリが優勝した2日後の山岳ステージで、山岳スペシャリストでこのツールでは後半の山岳コース絶好調で総合2位になったピョートル・ウグルモフとゴール前まで競り、ゴールスプリントで見事優勝したのだ。確かに彼は小柄で山岳を得意としているのだが、159㎝という身長は日本人からしても相当小さい。ツールドフランス出場選手の平均身長は180㎝近いから、それと比べてもかなり小さいことが分かる。

何より心惹かれたのは、一番背が高い197㎝のエロス・ポーリと一番背が低い159㎝のネルソン・ロドリゲスがそれぞれアルプスステージで優勝したことだ。

ポーリが小柄なロドリゲスを抱きかかえながら仲良くファインダーに収さまった写真が忘れられない。40cm近い身長差の二人、最高の笑顔だった。

自転車の大きさを比べてみても、同じ乗り物だとは思えないほどに違った。(^^)

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